WS1 ディスカッション — 20 年後の情報技術
2026 年春学期 情報科学概論(GEN023)/ 第四部 ワークショップ
🗓 今週スケジュール
- ワークショップの説明
- 3 人で 1 チームを作成。150 人 → 約 50 チーム
- チーム名とタイトルを下記スプレッドシートに記入
- Google Slide で資料を作成(合わせて PDF も提出)
- 提出ファイル名:
01_チーム名_タイトル
- 最初の 20 分はグループワーク(最終調整)
- 各チーム 1 分で発表。サマリーを説明
- 質問・コメントは ZOOM コメント欄で
- 投票・第四部の総括もここでまとめて実施
💡 今回のワークショップ・テーマ
📕「2100 年の科学ライフ」(ミチオ・カク)で触れられている技術
理論物理学者ミチオ・カクが、世界の主要研究者約 300 人へのインタビューに基づいて、
21 世紀末までに実現しうる技術を予測した本。「2030 年・2070 年・2100 年」の 3 段階で、コンピュータ・AI・医療・エネルギー・宇宙の各分野を網羅。
以下のキーワードは同書で扱われている主要トピック。
📚 Amazon で詳細
もう 1 つの参考: ジョン・タイター(2036 年からのタイムトラベラー自称のネット文化)も発想の助けに。
🛠 ハッカソン・アイデアソンとは
このワークショップは、短時間でアイデアを形にする「アイデアソン」の練習版でもある。
ハッカソンはソフトウェア開発分野のプログラマ・デザイナー・PM らが集中的に作業をするイベント。個人・班・全体で 1 つの目標に取り組み、1 日〜1 週間の期間で開催される。
アイデアソンは開発でなく「アイデア出し」に特化したワークショップ形式。
- ハッカソン(Wikipedia) — 用語の定義と歴史
- アイデアソン(Wikipedia) — 開発でなく「アイデア出し」に特化
代表的なイベント例
- Global Game Jam — 世界規模ゲーム制作ハッカソン(次回 2026/1/26 – 2/1)
- JPHACKS — 日本最大級学生向けハックイベント
- NASA Space Apps Challenge — 世界 300 都市以上で開催、毎年 10 月
- Hackathon Portal — 国内ハッカソン情報ポータル
⏳ 「20 年」というスケールの意味
なぜ「20 年後」を考えるのか。短すぎず長すぎないこの時間軸には、議論にとっていくつもの良い性質がある。
👤 自分の人生軸
今 20 歳前後の学生は、20 年後 40 代。家族・職業・社会的役割の中核に立つ年齢。「自分はその時どんな仕事をしているか」「子育てしている可能性は」を考えると、未来は他人事でなくなる。
👨👩👧 親世代との対比
今 40-60 代の親・先生世代は、自分が 20 代だった 1980-2000 年代に「20 年後の世界」を見ていた。スマホ・ネット・SNS は予測できたか? できなかったこと・できたことを比べると示唆深い。
🚀 技術が一周する時間
20 年あれば、「今は存在しない技術」が「あって当たり前」に変わる転換が 複数回起きる。iPhone(2007)→ スマホ普及、Twitter(2006)→ SNS 文化、ChatGPT(2022)→ 生成 AI 時代。次は何か?
📈 短期予測との違い
2-3 年先は具体的すぎて外しやすい(製品名・企業の盛衰)。20 年スケールでは「方向感」を考えればよい。「だいたいこっちに進む」が見えれば充分。
🌱 投資・準備の時間
「20 年後にこの技術が来る」と分かれば、今からスキル・人脈・基礎を仕込める。逆に「20 年後でも来ない」と思えば、流行に乗り過ぎず本質に集中できる。
🌍 社会変化の単位
少子高齢化・気候変動・AI 倫理は、5 年で完結する話題ではない。20 年後を見通す習慣は、長期的責任を引き受ける訓練にもなる。
📚 これまでの授業の振り返り(参考リソース)
第一部〜第四部で扱った内容を踏まえて議論しよう。 「20 年後にはこの技術がどう発展しているか」を考えるとき、 これらの公開資料が出発点になる。
📍 26 年度 課題01 「授業に関連する体験」共有
受講生 142 名の XR 体験レポートを 33 施設別に集約。技術要素と感想を 500 字でまとめ、個別レポート画像も閲覧可能。teamLab・日本科学未来館・Tyffonium・Vision Pro・Meta Quest 等。
※ パスワード:授業資料に記載
🥽 HMD・スマートグラス・AI グラスの完全史
1960 年代から 2030 年代までの 60 年間にわたるヘッドマウントディスプレイの進化。10 の時代区分・XR デバイス年表・倫理論点・SF との対応まで網羅。20 年後を考える歴史的視座が得られる。
第一部 / トレンド📺 VR/AR/MR 映像作品リファレンス
VR・AR・MR を描く映像作品(アニメ・映画・ドラマ・ゲーム・小説)を横断網羅。1980 年代「サイバースペース発見」から 2026 年以降の予測まで、年表形式で「歴史と技術トレンド」を解説。
第一部 / 映像安全🛡 映像による 3 大悪影響(PSE / VIMS / 眼性疲労)
光過敏性発作・映像酔い・眼精疲労 を整理した配布用ダッシュボード。設計者チェックリスト・症状別予防策。20 年後の XR 普及を考えるなら必読。
第一部(太田 / 映像情報メディア):XR・両眼立体視・Presence・HMD・空間音響・Foveated Rendering・VR 酔い対策
第二部(田中正行 / マルチメディア):画像処理・映像符号化・AI(画像認識・生成 AI・コンピュータビジョン)
第三部(田中宏季・鏑木 / 人間情報処理):感情コンピューティング・対話システム・脳・センサ統合
第四部(今回):第一〜三部すべてを統合して「20 年後」を構想する
🗣 議論する内容(5 観点)
この 5 つを順に検討すると、技術的にも社会的にも厚みのある発表になる。
- 面白い/できたら良い未来像:もし、その技術があったら、どんなことができそうか。できたら面白い・嬉しい未来は?
- コア技術/根拠:その未来を支える根拠技術は? 20 年後に開発されていそうな・発見されていそうなものは?
- 生じる問題:それによって、どのような問題が起きるか? 倫理問題・健康被害・新たに必要な法律など。
- 普及障壁:普及させるために、どのような障壁があるか? コスト・既存業界との衝突・格差・教育。
- 人の変化:それによって、人の生活・能力・社会関係はどう変わるか?
🔍 議論を深めるヒント(厳選 5 手法)
5 観点で行き詰まったら、以下の発想ツールを試してみよう。1 つでも適用すれば、議論が一段深くなる。
🔮 未来予測のコツ(未来学の視点)
未来学(Futures Studies)は「予言」ではなく「複数の可能性を扱う」分野。 「こうなる」と断言するのではなく、「こうなる条件/妨げる障壁/別の可能世界」を扱う発想が大事。
⚠ 避けるべき罠
- 直線外挿だけ — 過去 5 年のグラフを延ばすだけ。指数変化や断絶(disruption)を見逃す。
- ホットな技術への過大評価 — ガートナー社のハイプサイクル「過剰期待→幻滅→生産性」を意識。
- 西側中心の予測 — 中国・インド・アフリカ・グローバルサウスでの動向も考える。
- 「自分が見たい未来」へのバイアス — 楽観論者は楽観未来、悲観論者は悲観未来を描きがち。意識的に反対の立場も。
📚 参考図書
- ミチオ・カク「2100 年の科学ライフ」(既出)— 物理学者の長期未来予測
- ジョン・ナイズビット「メガトレンド」— 1980 年代の古典、構造的トレンド分析
- レイ・カーツワイル「特異点は近い」— 指数的成長と AI の延長
- ユヴァル・ノア・ハラリ「ホモ・デウス」— 倫理・社会哲学の視点
🕰 2006 → 2026 で起きた大変化(分野別 11 領域)
「2026 → 2046 年」を考える前に、まず「2006 → 2026 年」の 20 年で何が変わったかを振り返ろう。 この勢いと方向を 2046 年へ外挿すると、議論が説得力を持つ。
📡 通信
3G(2001)→ 4G LTE(2010)→ 5G(2019)→ Starlink 衛星インターネット(2020-)。動画ストリーミングが当たり前の世界へ。次は 6G / 衛星 + 地上統合。
🤖 AI
機械学習ブレイク(2012 AlexNet)→ Transformer(2017)→ ChatGPT(2022)→ GPT-4 / 生成画像・動画(2023-)。次は AI エージェント・科学研究自動化。
💾 ハードウェア
Apple Silicon M1(2020)、NVIDIA H100 / B200、TPU、量子コンピュータ実機実験開始。半導体 7nm → 2nm へ。次は光コンピューティング・量子優位。
📱 デバイス
iPhone(2007)/ iPad(2010)/ Kinect(2010)/ Apple Watch(2015)/ AirPods(2016)/ Apple Vision Pro(2024)。次は AR グラス常用・ウェアラブル医療。
🎬 SNS / 動画
Twitter(2006)/ YouTube(2005)/ Netflix ストリーミング / TikTok(2016)/ ライブ配信文化。情報行動が「文字 → 動画 → ショート動画」へ。
💰 金融・決済
Bitcoin(2009)/ PayPay・QR 決済(2018-)/ CBDC 議論 / フィンテック / NFT。「現金 → カード → モバイル決済 → 暗号資産」。
🚗 モビリティ
Tesla モデル S(2012)/ Uber(2009)/ シェアサイクル普及 / 自動運転実証。「所有 → シェア」「ガソリン → 電動」「人間運転 → AI 運転」。
🧬 生命科学
iPS 細胞(山中・2006)/ CRISPR-Cas9(2012)/ mRNA ワクチン実装(2020)/ AlphaFold(2020)。次はゲノム編集治療・脳直結インターフェース。
⚡ エネルギー
太陽光発電コスト 1/10 に / 福島原発事故(2011)→ 再エネ加速 / 核融合 NIF 点火(2022)。次は核融合商用化・水素経済。
🚀 宇宙
SpaceX 再使用ロケット(2015)/ 商業有人宇宙旅行(2021)/ Artemis 月計画 / 民間宇宙ステーション構想。「国家 → 民間 → 個人」への流れ。
🌏 社会・災害
リーマンショック(2008)/ 東日本大震災(2011)/ COVID-19(2020-)/ ウクライナ侵攻(2022-)/ 生成 AI による情報空間激変。「想定外」の頻度増加。
具体例で見る 2006 年の風景
参考: 年代流行(2000 年代) — 各年のヒット商品・流行語・社会現象を整理したポータル / 2006 ゲームランキング — 当年発売タイトルの評価ランキング
👥 世代観の参考(議論のとっかかりとして)
生成 AI・タブレット
動画優先の傾向(観察初期)
ネイティブ
タイパ重視、ショート動画文化
過渡期
ワークライフバランス重視
インターネット普及期
リアル経験豊富
固定電話文化
受けやすい層も
議論での使い方の例
- 2046 年の社会構成:今の α 世代(2-13 歳)が労働市場の中核に。自分は 30 代後半〜40 代。
- Z 世代の価値観の浸透:「多様性・SDGs・タイパ」が 20 年後に主流になっていたら、技術設計はどう変わるか?
- 世代論を超えた共通課題:高齢化・気候・AI 倫理は全世代に影響。世代より大きな分断軸もあるかも。
参考リンク
- Z 世代(Wikipedia)
- α 世代(Wikipedia)
- 電通若者研究所・博報堂生活総研などの世代調査レポート
📊 2025 年度 WS タイトル例(昨年)
昨年(2025 年度)のチーム名とテーマを参考に。テーマの幅・切り口の多様性を確認しよう。 被りそうな場合は「自分らしい切り口」で差別化を。
🕰 過去の WS 発表(参考にどうぞ)
過去 5 年分のタイトル一覧と発表資料。同じテーマでも「自分らしい切り口」を意識すること。
※ 2021 年は「After コロナ時代の新しいサービス・商品・アイデア」というテーマ。 授業 4 名の先生方の内容に関連していれば自由。
↑ 目次へ戻る📦 成果物(6/11 発表用)
スライド構成のヒント
- タイトル枚:チーム名・テーマ・メンバー名
- 内容 1 枚:絵・図を入れて視覚的に。20 年後の世界観が 1 枚で伝わる「濃さ」を
- おまけ:イラスト・参考文献・話し合った内容・ボツ案・データ — 自由に
- ZOOM コメント欄で質疑応答。最後に 投票を実施
🎯 最終課題(課題 2)— 20 年後の情報技術 深掘りレポート
ワークショップの発表を参考に、20 年後の技術について一つのテーマを選んで深く考察するレポート。 自チームのテーマを更に掘り下げてもよいし、他チームの発表を聴いて興味を持ったテーマでもよい。 倫理・健康・法律・普及などの「課題」側を扱うレポートでもよい。
📐 評価軸(3 観点・配点付き)
| 観点 | 配点 | 求めるもの |
|---|---|---|
| ① テーマ・問い | 30% | 「20 年後」を考える上で、その問いが鋭く・自分の興味が見える形で選ばれているか。ありきたりの SF 設定の繰り返しでなく、自分なりの切り口があるか。 |
| ② 技術的考察 | 40% | コア技術・根拠となる技術を、講義内容や現行の研究・製品と接続して説得力ある形で論じているか。20 年前 (2006) との差から外挿することで歴史的視座を入れているか。 |
| ③ 倫理・社会・普及 | 30% | 技術が普及するときに生じる問題(倫理・健康被害・法律・格差・環境負荷)と、それに対する自分の立場・提案を、自分の言葉で書いているか。 |
※ 第一部課題と同じく、コピペ・一般論・カタログスペック転記・AI 生成丸写しは減点。
① テーマ・問い(30%)の詳細ガイド
- ◎推奨:WS で取り上げられなかった技術領域を選ぶ、あるいは WS で扱った技術をさらに細分化・特定の応用領域に絞り込む。自分が興味を持っているテーマ(読書・趣味・将来関わりたい仕事)と接続して、「自分らしい切り口」を探す。「もし自分が設計するなら」「20 年後の社会で自分はどう関わりたいか」を主語に。
- △工夫が必要:他チームが扱ったテーマをそのまま繰り返すだけ → 何を新しく付け加えたか明確に。SF 映画・小説の引用だけ → 必ず現実の技術・論文・製品に接地。
- ×不可:冒頭でテーマが分からない。「楽しそう/便利になる」だけの感想文。
② 技術的考察(40%)の詳細ガイド
「20 年後にこうなる」を根拠付きで論じる。以下のうち 2 つ以上 に触れる:
- コア技術:その未来像を支える土台技術(半導体・通信・センサ・AI モデル・素材・エネルギー など)の現時点での到達度を調べる
- 歴史的外挿:2006 年 → 2026 年の 20 年で何が変わったかを例示し、その勢いを 2046 年へ延長する
- 第一部の知見:XR・映像メディア・人間情報処理・感情コンピューティング・マルチメディアなど、本授業 4 部で学んだ概念を引用
- 論文・研究・製品:arXiv / CES / WIRED / IEEE Spectrum / 各社 R&D ブログ等の一次情報を 1 件以上引用
- 限界・課題:実現しないかもしれない理由(物理限界・コスト・データ・倫理・標準化)にも触れる
③ 倫理・社会・普及(30%)の詳細ガイド
- 倫理:プライバシー・自律性・人間性・公平性・AI の責任所在
- 健康・安全:第一部で扱った映像 3 大悪影響(PSE / VIMS / 眼性疲労)の延長線、サイバー酔い、依存
- 法・制度:個人情報保護法・著作権・労働法・国際標準化の不在
- 普及障壁:コスト・格差・教育・インフラ・既存業界との衝突
- 環境・持続可能性:電力消費・資源採掘・廃棄
自分の興味分野・将来との接続(「自分はこの問題にどう関わりたいか」)を 1 段落以上含めること。
📋 提出要項
※ 課題 2 は共有・公開しない個人評価用。氏名・学籍番号をファイル名と本文どちらに含めても構わない。 (課題 1 は共有あり → 氏名・学籍を入れない、との違いに注意)
↑ 目次へ戻る⏰ 課題 1(第一部 XR 体験レポート)の延長提出について
第一部 XR 体験レポートの提出期限は過ぎていますが、未提出者は 2026/6/18(木)24:00 までに提出してください。 6/18 以降は一切受け付けません。
📝 Moodle 課題 1 ページへ
※ 文中に氏名・学籍番号を入れない(提出後にクラスで共有するため)
※ 提出済の 142 件の集計版は
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