📖 ICU CGS ゲーム体験 4 年集計の読み物

2023-2026 / 161 名 / 287 エピソード

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🎮 ICU 生のゲーム体験 4 年間の変化 — 161 人の発表から読む世代地図

ICU の春学期科目「コンピュータゲーム(ISC351)」では、毎年初回の課題として 「私のゲーム体験」 をテーマに、自分が最初に触れたゲーム・思い出のタイトル・ハマったジャンルなどをスライドで発表してもらっている。2023 〜 2026 年度の 4 年分・のべ 161 人 の発表から、ICU 生の「ゲームの記憶」がどう変わってきたかを読む。


1. ハイライト:2026 年度のニュース 5 つ

🥇 ニュース 1:マインクラフトがついにポケモンを抜く

年度 1 位 件数
2023 ポケモン 64
2024 ポケモン 62
2025 ポケモン 42
2026 マインクラフト 35(ポケモンは 30 で 2 位)

4 年間続いた「ポケモン王朝」がついに陥落。マインクラフトは 10 → 11 → 21 → 35 と、4 年連続で右肩上がり。これは ICU の学部 1 年生(おおむね 2007-2008 年生まれ)にとって、Minecraft が「物心ついた時にはあった」ゲームだった最初の世代であることを示している。

ちなみに、Minecraft のリリースは 2011 年(Java Beta)、PE 版は 2011-2012 年。いま 18 歳の学生は 4-5 歳で Minecraft を触っている計算になる。

📉 ニュース 2:ポケモン、ピークから半減

ポケモンの言及数は 2023 年の 64 件から 2026 年の 30 件へ、ほぼ半減。同期間に学生数は 29 名 → 51 名と 倍近く増えている にもかかわらず、絶対数で減っているのは大きな変化。学生 1 人あたりの言及率は約 1/3 に。

「最初のゲーム = ポケモン」は、もう全員の共通言語ではない。

🆕 ニュース 3:2026 年度で初登場した主要タイトル

タイトル 2026 件数 注目度
テトリス 7 ★ Tetris Effect / Tetris 99 の影響?
妖怪ウォッチ 5 ★ 「DS 末期世代」がついに到来
クラッシュ・ロワイヤル 5 ★ スマホ対戦のニューウェーブ
Roblox 4 ★★★ 世代交代のサイン
ELDEN RING 4 ★★ ソウルライク初登場
オーバークック 3 ★ パーティゲーの新定番

特に注目は Roblox。グローバルでは小中学生のメインプラットフォームになって久しいが、ICU 生の発表で初めて言及された。Roblox 公式の主要ユーザー層が大学に進学したことを意味する。

📱 ニュース 4:スプラトゥーン・フォートナイト・Wii Sports の復活

タイトル 2023 2024 2025 2026
スプラトゥーン 5 4 10 14
フォートナイト 2 0 7 11
Wii Sports 5 0 6 10

スプラトゥーン 3(2022 年発売)の世代がリアルタイムでハマり、Fortnite Chapter 4-5 の文化がついに学生発表に登場。Wii Sports は「いまだに実家にある Wii で遊ぶ」というノスタルジア型の回帰。

🕹️ ニュース 5:ハード No.1 は 4 年連続で Nintendo DS

順位 ハード 4 年合計
1 DS 228
2 Wii 186
3 スマートフォン 120
4 3DS 106
5 Switch 102
6 PC 94

DS は 2004 年発売、Wii は 2006 年発売。今の学生は当時 0-4 歳。「兄姉・親のおさがり」「実家の押入れから発掘」 という形で、DS / Wii は世代を超えて「最初のゲーム機」の座を守り続けている。


2. 4 年間の Top 15 ランキング(言及数合計)

順位 タイトル 2023 2024 2025 2026 合計 動向
1 ポケモン 64 62 42 30 198 ⬇ 半減
2 マインクラフト 10 11 21 35 77 ⬆ 3.5 倍
3 マリオカート 18 9 26 15 68 〜 変動
4 どうぶつの森 11 13 29 8 61 〜 2025 ピーク
5 大乱闘スマッシュブラザーズ 24 7 17 9 57
6 スーパーマリオブラザーズ 14 10 16 7 47
7 モンスターハンター 9 7 25 5 46 〜 2025 ピーク
8 ドラゴンクエスト 22 0 7 12 41 〜 復活
9 ゼルダの伝説 5 18 12 5 40 〜 2024 ピーク
10 スプラトゥーン 5 4 10 14 33
11 太鼓の達人 7 5 11 3 26
12 星のカービィ 12 12 0 2 26 ⬇ 急減
13 原神 9 4 7 3 23
14 Wii Sports 5 0 6 10 21
15 FIFA 8 0 6 6 20

3. ゲーム 6 ジャンル別の「世代のキャラクター」

🐉 RPG クラシック — ドラクエ・ポケモン・FF

「最初のゲーム = RPG」という文化は徐々に縮小している。ポケモンは 64 → 30 と半減、ドラクエは 22 → 0 → 7 → 12 と一度消えて復活。FF は 0 → 3 → 5 → 4 と微増。RPG はもはや「全員の共通言語」ではなくなりつつある が、根強いファン層は健在で、ELDEN RING(2026 で初登場、4 件)のようなソウルライクの台頭もある。

🌊 サンドボックス・ライフシミュ — マイクラ・あつ森

「自分で目的を作るゲーム」が記憶に残る時代へ。マインクラフトは 10 → 35 と 3.5 倍、どうぶつの森は 11 → 29 → 8 と 2025 年がコロナ禍世代のピーク。学生が語る「ハマった理由」が「ストーリーをクリアした達成感」から「自分の作品を作る楽しさ」に変化している

🔫 対戦・FPS / MOBA

タイトル 2023 2024 2025 2026
スプラトゥーン 5 4 10 14
フォートナイト 2 0 7 11
Apex Legends 3 2 2 0
Valorant 1 4 1 0
League of Legends 1 12 3 0
Overwatch 1 7 0 0

2024 年度だけ PC FPS / MOBA が突出(LoL 12、Overwatch 7、Valorant 4)。これは留学生構成や学科の影響と推測される。2025 年以降は任天堂系対戦(スプラ・スマブラ)と Fortnite に回帰。

📱 モバイル・ソシャゲ

タイトル 2023 2024 2025 2026
パズドラ 12 2 3 4
モンスト 7 2 0 0
ツムツム 2 3 7 0
原神 9 4 7 3
クラッシュ・ロワイヤル 0 2 4 5

スマホは「ハード」として依然強い(4 年合計 120 件)が、特定タイトルの入れ替わりが激しい。パズドラ・モンストの「ガラケー〜スマホ初期の代表作」は 2026 でほぼ消滅。代わって Clash Royale が浮上。

🎵 リズム・パーティ — 家族・友達と遊ぶ系

タイトル 2023 2024 2025 2026
太鼓の達人 7 5 11 3
リズム天国 5 6 5 0
Wii Sports 5 0 6 10

「友達と遊んだ」「家族と遊んだ」記憶として語られるパーティ系は、世代横断的に出てくるが、特定タイトルは入れ替わる。Wii Sports の 2026 復活は、Switch Sports(2022 年発売)からの逆流(=「Wii で先に Wii Sports をやった」記憶の再評価)と思われる。

🆕 2026 で初めて主流入りした 3 つの新潮流

  1. ブラウザ・プラットフォーム系: Roblox(4 件)
  2. スマホ+短時間対戦: クラッシュ・ロワイヤル(5 件)、テトリス(7 件)
  3. ソウルライク・高難度系: ELDEN RING(4 件)

これらは過去 3 年では Top 30 にも入っていなかった。2026 年度から ICU 生の語彙にこれら 3 つのカテゴリが追加されたと言ってよい。


4. 4 年間のエピソード定番パターン(テキスト分析より)

PDF から抽出したエピソード系ページを通読すると、毎年繰り返し登場するテーマがある。

定番①:兄弟との本体/ソフトの取り合い → 親に没収

「兄が勝手にクリアしていた」
「兄が先に攻略して、その先を教えてくれなかった」
「家にあった 1 台のゲーム機を 3 人で取り合って、結局親に取り上げられた」

DS・Wii 世代の共通体験。ハード 1 台に対して兄弟 2-3 人 という家庭環境が、ゲームを「順番」「我慢」「交渉」の社会的訓練の場にしていた。

定番②:親からのゲーム制限・買ってもらえない家庭方針

「画面が小さくて目が悪くなるからと DS を買ってもらえず、友達の家でやらせてもらっていた」
「ゲームは 1 日 30 分まで、夏休みは 1 時間まで」
「テストで 100 点取らないと買ってもらえなかった」

特に DS・3DS 世代で頻出。学生は今になって「あの制約があったから熱中した」と語ることが多い。

定番③:友達の家でのマルチプレイ/順番交代

「家に Wii がなかったので、土曜日になると友達 5 人で誰かの家に集まって、マリオカートで盛り上がった」
「『次の人交代!』が一番のルールだった」

ホーム据置機(Wii / Switch)特有の「集まって遊ぶ」文化。スマホゲーが主流の今でも、この体験が「ゲーム」の原点として語られる

定番④:ランキング/イベント狙いの徹夜・対戦沼

「中 2 でレーティング戦に出会って、毎日朝 3-4 時まで」
「クラロワで部活引退してからランキング 1 万位以内に入った」
「原神の天井でひと月 5 万円使った」

特に中学・高校時代の体験として頻出。競技的・時間消費型の沼は世代を超えて存在。

定番⑤:初クリアまでの長期挑戦と達成感

「ポケモンホワイトを 5 年かかってもクリアできず、上級生に手伝ってもらって倒した」
「スーパーマリオオデッセイで初めてクッパを倒した時、本当に泣いた」
「ティアキンを 200 時間かけて全クリした」

クリア = ゲームをやり遂げた経験」が、達成感として強く記憶に残る。世代横断的に語られるパターン。

定番⑥:家族イベントとしての太鼓の達人 / Wii Sports / マリオカート

「正月にいとこ全員集まって、毎年マリオカート大会」
「Wii Sports のテニスでおじいちゃんが意外と上手かった」
「太鼓の達人を家族で順番にプレイ、母が一番上手だった」

ゲームが「家族イベント」になる体験は 4 年間どの年度でも頻出。任天堂が一貫してターゲットにしているマス層のゲーミング体験を、ICU 生は実際に体験して育っている。


5. 「親の制限 → 友達コミュニティ → 自立 → 配信・対戦文化」という時系列

エピソードを通読すると、ICU 生のゲーム体験は次のような時系列で語られることが多い:

[小学生低学年]   親の制限・買ってもらえない・友達の家でやる
       ↓
[小学生高学年]   ようやく自分の本体が来る、兄弟と取り合い、ハマる
       ↓
[中学生]         スマホを買ってもらう、ソシャゲ・対戦沼、ランキング戦
       ↓
[高校生]         受験で一旦距離、配信で観るだけになる、PC ゲーに触れる
       ↓
[大学生(現在)]  実家で家族と Switch、コロナ禍の名残、配信文化、Discord

この 「制限 → 友達 → 自立 → 配信・対戦」 の段階構造は、4 年間どの年度のエピソードでも共通して観察される。ゲームの社会的文脈は世代横断的だが、その中で接触するタイトルだけが時代によって入れ替わっている。


6. ハード変遷から見る「学生の記憶の地層」

ハードの 4 年合計ランキングを「発売年」と並べると、面白い構造が見えてくる:

ハード 発売年 4 年合計 学生当時
DS 2004 228 0-4 歳
Wii 2006 186 2-6 歳
3DS 2011 106 7-11 歳
WiiU 2012 37 8-12 歳
PS4 2013 37 9-13 歳
Switch 2017 102 13-17 歳
PS5 2020 22 16-20 歳

DS と Wii が圧倒的に強い理由は、「自分の最初のゲーム機」「家族のホーム機」として 0-6 歳に触れた経験が、最も強く記憶に残るから。3DS が 2025 年度に 49 件 と急増したのは、ちょうど 3DS のピーク(2014-2016 年)に小学生だった世代が大学に入学したタイミング。

WiiU の不遇(4 年合計 37 件)は商業的失敗を直接反映。一方で Switch(102 件) は中高生で触れた「今も使っている現役機」として安定言及。

PS5 は 22 件と少ない。「学生の家にはまだ PS5 がない」という構造が見える。


7. データソースと方法

  • 2023 年度(推定 29 名): スキャン PDF を Tesseract OCR(jpn+eng, DPI200)でテキスト化。誤認識多め
  • 2024 年度(推定 50 名): PDF にネイティブテキストあり。PyMuPDF で高精度抽出
  • 2025 年度(推定 31 名): スキャン PDF。OCR 抽出(参考程度)
  • 2026 年度(49 名提出): PyMuPDF でネイティブテキスト抽出。重複ファイルを含めると 52 件
  • ゲーム / ハードの集計は約 100 種類のキーワード辞書でマッチ。略称・別名(あつ森 / マイクラ / スマブラ等)は正規化済
  • 個人特定情報(氏名・学籍番号・連絡先)は ゲーム体験_2026.pdf 内で黒塗り処理済

詳細データ:


8. 担当者所感

ゲームは「もはや娯楽」ではなく、学生のアイデンティティを語る言語になっている。「最初に触ったゲーム」「家族と遊んだゲーム」「友達の家で順番待ちしたゲーム」「夜更かしして対戦したゲーム」 — これらはすべて、人間関係・家族関係・自立のプロセスを語るための具体的な記号になっている。

ICU CGS の初回課題として、今後もこのテーマは続けたい。4 年分のデータが揃った今、次の 4 年(2027-2030) で何が消えて何が現れるかが楽しみだ。

予想:Roblox / ゴルフ系 / Vampire Survivors 系 / AI 生成ゲーム あたりが上位に入ってくると見ている。

担当: 太田啓路(ICU 情報科学メジャー)/2026-05-13


ICU CGS(ISC351 コンピュータゲーム)担当: 太田啓路 / 2026-05-13
ソース: 2023.pdf / 2024.pdf / 2025.pdf / 2026.pdf